『AI vs.教科書が読めない子どもたち』を読んで

表題の本を読了しました。
存在を知ったのは、息子たちが通っているバッカーズ寺子屋九州からの配布資料(昨年のPRESIDENT誌掲載分)でした。
雑誌2ページを一読して興味を持ちましたので、早々に購入しました。
読んでみてもとても興味深い内容で、いろんなことを考えさせられました。

一番に思い浮かんだのは、我が社員と我が子でした。
筆者が懸念している範疇にいるのでは無いか?ととても気になっています。
早速数名には本の中にある問題を解いてもらいましたけれども、残念ながら誰一人全問正解はいらっしゃいませんでした。
良かったのは全問不正解者もいなかったことです。

こちらで出ていた問題は知識量を問われる内容ではありません。
その場で教えられる日本語を正しく読み取らなければ、間違えると言うだけです。
これでは与えられている課題をそもそも正確に理解できていないということの証左でもあります。
読了したときにとても恐ろしい気持ちになりましたのは、この違いがわからないまま生活自体が滞りなくできてしまうと言うことです。
この教育格差なのか論理力格差なのか、国語力格差なのか、未だに表現を理解できておりませんけれども、読解力の差は人生においてとても大きな差になってくることは間違いありません。
この本はより多くの志を持った方に読み進めてもらいたいと思い、社外の方でとても若いけれども優秀な方に懇願するように読むことをお願いしました。
同世代において読解力の差があっても見捨てることなく、挽回する機会を与えてもらいたいと思ったからです。
このAIには気付けない差を感じ取ることが出来なければ、AIに使われる側になることは間違いありません。
過去にある集積された情報から答えを導き出せる場合は、AIに勝つことが難しいからです。
そもそもの課題設定をどこに置くかこそが、AI等のコンピュータには決して出来ないことだからです。

ホモサピエンスは30万年ほど前から存在していますけれども、一度も新たな生物を生み出すことは出来ていません。
ここで言う生み出すとは、品種改良のようなものではなく、もともと自然界にある力を使わずして、意思を持った生命を生み出せていないと言うことです。
固有の意識を持った生命を与えることはまだまだ難しいことなのだろうと思います。
私自身はそんなことが出来る日が来るともあまり思ってもおりません。

ただし、目の前でAIが目覚しい進化を遂げていくことは理解しています。
AI技術等により、無くなる職種は沢山あるでしょう。
いろんな世界でイノベーションが起きれば当然のことです。
一つの技術しか持っていなければ、機会が奪われることは起こり得ることです。
それでもどんなにAIが発達しても奪われない仕事もあります。
それは『自分の頭で考え続けること』です。
与えられたものだけではなく、常に自分の意思で人様のことを考えて役に立つサービスについて、自分自身が共同体の一部であることを理解して行動をし続ければニーズは必ず見つけ出せます。
現代は、飢餓に困っていた時代に比べればとても生きやすいことでしょう。
戦乱に巻き込まれていない地域は生きていくことの大変さを理解できづらいことも分かります。
それでも世界は変化を止めることがありません。

自分の頭で考え続けなければ、見えてくる世界はとても狭いものになり、自らで機会を生み出すことは出来なくなります。
この本をこの時点で読めたことはとても有難いことだと思いました。
新たにこれからも多くの気付きを皆様と共有できるように勤めてまいりたいと思います。
ベストセラーなので多くの方が読まれていることと存じますけれども、読んでいない方にはお薦めします。
特に育成部門にいらっしゃる方は意識されたほうが良いように思います。
テクノロジーが発達した結果、自分の頭で考える機会が奪われてしまう方が多いようです。
会社・組織が継続できるよう自分の頭で考え続ける社員を増やしてまいりたいと思います。