平成元年に14歳となり元服したという事で、1052年目を迎えた野馬追に初陣を果たしてから27年が経過しました。
本年、相馬野馬追で総大将を 務めさせていただくことになりました。
私にとってどのように表現して良いかわからないほどに、とても価値のある大切なことが相馬野馬追です。
千年を超える行事が今なお息づいているというこの事実の前に個人の想いなどとは別格に大きな何かを感じています。
年を追うごとに感謝を重ねられている昨今では、本行事の大切さをますます感じています。
東日本大震災以降、特に注目を浴びることが増えているように感じますけれども、私にとっては継続する価値の重要さを痛感しています。
歴史に残るものには様々な理由があって継続されています。
時代が違えば価値観も大きく変わってきています。
国体と言う点で見ますと、大化の改新、鎌倉開幕、明治維新が大きな転換点になっていると考えておりますけれども、平安時代から二回の大きな国体変化の波にもさらされながらも継続できて、かつ現代の人間も魅了するこの行事は類まれなものと思います。
継続し続ける行事には節目があるのだろうと考えます。
その事象がより行事自体の価値を問い直す事で、ある意味でより強固になる機会であると言えます。
我々が幼いころから聞かされていたのは、天明天保の大飢饉時の話や第二次大戦末期の開催の話でした。
将来においては東日本大震災も一つの評価に入るのかもしれません。
私においては歴史を継承することが使命であると捉え、どんな状況においても継続することを大切にしていきたいと考えております。
個人の性格としましては、今年のように1079年目と言う年に参加できることが大いなる誉れであります。
1100年、1500年、2000年など記念すべき年も有ろうかとは思いますけれども、私はそこに繋ぐ御役目が頂戴できていることに幸せを感じます。
記念周年では式典等も一層きらびやかに映るかもしれませんが、私はそこで前に出るという事への意気込みが全くありません。
次男と言う立場で育ったこともあり、親父や兄貴がその場にいてくれることを心から望みます。
そこまでに至る経緯に触れるだけで幸せであり、望むらくは記念すべき年に親父や兄貴が歴代の当主の中でもより良い形で出迎えられる土壌を整えたいと願う次第です。
私にとっての手柄は将来墓に入った際にご先祖様から「よくやったな」と言われることと、自分たちの子孫を墓に迎える際に「存在のお蔭で助かりました」と言ってもらう事です。
よって、通常業務においても社内外行事においても積極的に人前に出ていくと言うよりは、組織の裏方でしっかりと継続できる仕組みを構築することが達成感を覚えます。
本年の野馬追も務めをしっかりと果たすことで、1080年目を適切に迎えられる土壌のお役に立つことも大切な役割であろうと思い、野馬追に全力で取り組みご先祖様並びに領民の安寧と土地に関わる全ての子々孫々に向け祈りを捧げてまいります。
このような御役目を頂いていることに深く感謝しております。