拳児

先日、実家に戻った際に自分の残していったものを確認している際にいくつかの残していた漫画を見つけました。
その一つが表題のものです。

週刊少年サンデーに連載されていて、私の漫画暦の中でも心に遺る物の一つでした。
いつの日か子供に読ませたいという想いがあったことを思い出して、物置から我が家へもって来ました。
そして、子供よりも先に夢中になって読了しました。
漫画からは多くを教わっていますので、残しておきたいことは多々ありますけれども、今回は拳児を読んで思い出した考えをまとめておこうと思います。
横山光輝の三国志で中国の歴史に魅力を覚えてからは、水滸伝、西遊記、小説十八史略等々を読んでいました。

中学生になる頃に始まった拳児では論語等につながる大陸の歴史や考え方を学びました。
それ以来、あまり中国と言う言葉を使わず、大陸と言う表現をすることも思い出しました。
拳児はその名の通り、拳法を通じて色々な物語が展開していきます。
聞き慣れない八極拳という言葉を知り、現在まで好きな言葉の『仁義礼智信』に深く傾倒していきました。
その後、東洋思想化である田口佳史氏とお会いした以降はますます上記の言葉を正しく理解する一助を頂戴しました。

今回読み直してみて、『仁義礼智信』に加えて『厳』と『勇』など私の源流を流れる何かを思い出させてくれました。
『仁義礼智信』と言う言葉に引かれて子供にもその文字を付けたいと思ったのの、既に親戚で使われているケースが多く『礼』の字のみ三男に頂戴しています。

田口氏曰く「現在の『文武両道』の『武』とは、ビジネスでの成功を指す」とおっしゃっていました。
拳児でも何故武道をするのか?何度も問われていました。
そして、その答えは自らで見つけるしかなく、その中で命を落とすことも途中で間違った道に行くことも有り得るという話でした。
更には、武の強さを求めることは虚しく、最後に武を極める事は宇宙と一体になることを求めてること自然の法則に従うことを説いていました。
ビジネスマンとしては大いに参考になるお話でした。

最初は、金儲けに興味を持ち、一生懸命お金を求める。
武道においては大会で優勝することを目標におくことと同義であるように思いまし、初めはそのような動機付けがあって当然でも有ると思います。
それでも、ある程度の武を身に付けたり、ビジネスの成功を修めた次の段階では、やはり『先義後利』『自然の法則』に気付かなければ身を滅ぼしてしまいます。

八極拳でも強いと言われた李書文は結局毒殺されてしまいます。
卑怯であるかもしれませんが、武の強さだけを求めた末路はそのように成ってしまうのではないでしょうか?
やはり誰かに恨みを買うような生活を続けていくことでは徳を積めません。
ビジネスの世界で言えば、松下幸之助翁も同じように自然の法則に従うまでと良く説かれています。

上善如水と有るように極めた結果は自然への同調そして周囲への感謝なのだろうと思います。
そこに至る近道は無いと思いますけれども、一つ頂いたヒントとしては、「千招を知る者を怕れず、一招に熟練するものを怕れよ」と言う言葉にあるかと思います。
自分自身の一招とは何なのか?地道に得意技を練磨していきます。
私の幼少期・青年期においては漫画に多分に教わることが多かったことを思い出すとともに哲学含めて色々と入り口を教えていただいた事に感謝します。
我が子が拳児を通じて簡単でも人道の入り口に立ってくれたらとても嬉しいです。
中学生高校生の頃の漫画も準備して、成長を期待しています。

最後に、太郎代議士から頂いた「漫画の100倍本を読まなければ、正しく漫画を読んだことにはならない」と社会人早々になった際に言われた言葉とともに漫画の効用を正しく記しておきたいと思います。
拳児を今楽しめているのは学生のときに比べて数段違うステージで有る事は間違いありません。
また、数十年後に読み直したいと思います。