土地の魅力を考える

週末に地方の魅力について考える機会をもらいました。
どんな地域にもそこで生まれ育った方がいらっしゃいます。
そこには先人が創り上げた様々な歴史が有ります。
西洋の近代文明が入ってくるまでは、そこで生きていくことも容易ではありませんでした。
現在は、日本全国全てで人口減の課題を向き合ってきていますが、地方では1970年代からでも人口減は始まっています。
一時期の地方は若者に意識を向けてリトルトーキョーを目指すような傾向にあったように思いますが、今では多くが地域ごとの特色をしっかりと打ち出すことに目を向けているように感じます。
それでも社会的インフラの維持は容易ではなく、今まで以上に選択と集中が求められています。
『地方が元気かどうかはタクシーに乗ればわかる。タクシー運転手が自分の街を勝手に宣伝してくれるか、暗い過去の話ばかりしているかで、大凡の検討が付く』と言う話も聞いたことが有りましたが、タクシー自体も減っている今ではそのバロメーターを活用する機会も失われてきています。

世界で最も良い土が有るのがウクライナと聞いたことが有ります。
土地によって痩せている土地と肥沃な土地に分かれています。
土地が生み出すのは食物で有り、それを食べて育つ人間です。
何をどのように食べて育つかで人間性や健康面も大いに影響を受けます。
森信三氏は、『読書は心の食物。肉体を養うために毎日の食事が欠かせないように、心を豊かに養う滋養分として読書は欠かせない』とされています通り、読書の大切さを伝えるためにも食事を例えに出すほど重要な物です。
コンビニエンスストアの全てを否定するつもりは有りませんし、有用性は理解しているつもりです。
とは言え、時には自分たちの口に入っているものがどのように形成されているのか?誰によってどのような想いで提供されているかに心を寄せてみることも大切だと思います。
日本全体の食料自給率の低さは良く提示されますが、地方によっては当然に100%以上を維持しています。
都会の方が食べるばかりで、農業のプロセスを正しく理解できず評論家になってしまっています。
しかも大切なのはコストパフォーマンスであるように思います。
全ての農家が経済学を学んでいる必要は無いと思いますし、そこに頭を使いすぎるよりはやはり本業に注力できる環境を提供することがより良い農業の発展に繋がるものと考えています。
更には、農業も細かくプロセスを分けての分業が成立していることもあり、世界の流通が何らかの形で止まれば、種子が手に入らず端緒にも立てない事態になるかもしれません。
国家には防衛力も経済力も必要なことは重々承知している上で、農業や漁業・林業などの第一次産業を軽々に扱うべきものではないと確信しています。
人間は経済力を全ての価値基準に置くことには限界が有ると感じています。
経済が『経世済民』で有れば、推奨していきたいですが、現時点の活用はエコノミックでしか無いと感じています。
この点からも多くの地殻変動のように何かが動き始めるエネルギーを感じています。
農業が動き出し、土の力を向上させていくことで、人間作りにも良い影響を与えていくことと楽しみにしています。

週末には地元での10年ぶりの地域運動会が有りました。
台風や武漢ウイルス(COVID-19)の関係で開催が出来ていなかったため、久方振りの催しでした。
人口減の影響は受けつつも、まだまだ地元の関係性が希薄になっていない様は、地域の活力であると感じました。
土が豊かになった後は、人間を如何に育てていくかに繋がっていきます。
家庭だけでなく地域を含めての教育体制を整えていかなければ、根なし草の経済最優先の人間が育ってしまいそうです。
土地ごとの生産品が進めば、それを加工していくのはそこに居る人間ですから、土と人は共に大切でリンクしているものと思います。
やはり、その上で指導する側に大いなる責任があると感じますので、少しずつでもしっかりと社会や次世代に貢献できるよう人と土のつながりを大切にしてまいります。

目先のことだけではなく、根源的・長期的に考える機会を頂戴した良い連休となりました。